姉が為に鐘は鳴る

〜彼女の白昼夢〜




    





私こと卒塔婆 とわ(そとば とわ)には、病弱な姉がいる。

姉は、非常に稀な難病『チェリーセージ症』と言う病を患っている。

姉の人生は激痛に塗れ、自身の命の選択すらできない有様であった。


私達家族が選んだ選択は「最期まで笑ってしなせてやる」と言う

ある種、非常に受動的な結論だった。

しかしそれはとても残酷な選択に過ぎなかった。


その一方で、「今」を必死に愉快に生きる姉や同室患者の存在は、

私に現実の大切さを知らしめ、同時に逃避へと促してしまう。


また、屋上で出会った「元・チェリーセージ症患者」の亡霊との出会いは

私の選んだ選択の愚かさを露呈していってしまう。


病院を舞台にした永遠とも思える劇中劇は

私のココロのカケラを拾い集めていく。






inserted by FC2 system